目標17 [実施手段]
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
持続可能な開発アジェンダを成功へと導くためには、政府、民間セクター、市民社会の間のパートナーシップが必要です。人間と地球を中心に据えた原則や価値観、共有されているビジョンと目標に根差すこのような包摂的パートナーシップは、グローバル、地域、国内、地方の各レベルで必要とされています。
民間の数兆ドルに上る資金が持つ変革力を動員し、方向を変え、解放し、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に役立てる必要があります。特に開発途上国では、重要部門への海外直接投資を含む長期的な投資が必要とされています。具体的な部門としては、持続可能なエネルギー、インフラと輸送、さらには情報通信技術が挙げられます。公共セクターは明確な方向性を定めなければなりません。投資を誘致し、持続可能な開発をさらに促進できるよう、審査・監視枠組みや規制のほか、このような投資を可能にするインセンティブの構造を改革しなければなりません。最高会計検査機関や立法府による監督機能など、国内の監督メカニズムも強化すべきです。
目標16 [平和]
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
「持続可能な開発目標(SDGs) 」の目標16は、持続可能な開発に向けた平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供し、 あらゆるレベルで効果的で責任ある制度を構築することを定めています。
目標15 [陸上資源]
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
地表の30%を覆う森林は、食料の安定確保と避難場所の提供に加えて、気候変動と闘い、生物多様性や先住民の居住地を保護するうえでも鍵を握る役割を果たします。毎年、1300万ヘクタールの森林が失われる一方で、乾燥地の劣化が進み、36億ヘクタールが砂漠化しています。
人間の活動と気候変動に起因する森林破壊と砂漠化は、持続可能な開発にとって大きな課題となっており、貧困と闘う数百万人の暮らしや生計に影響を与えています。森林を管理し、砂漠化に対処するための取り組みが行われているところです。
目標14 [海洋資源]
持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
世界の海洋は、その温度、化学的性質、海流、生物を通じ、地球を人間にとって住みよい場所にする地球規模のシステムを動かしています。
雨水や飲み水、気象、気候、海岸線、私たちの食料の多く、さらには私たちが吸っている大気中の酸素でさえ、究極的には海洋によって提供、制御されています。海洋は歴史全体を通じ、貿易や輸送に不可欠な経路にもなってきました。
この地球にとって必須の資源を慎重に管理することは、持続可能な未来の重要な要素となります。
目標13 [気候変動]
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
気候変動はあらゆる大陸のあらゆる国に影響を及ぼすようになっています。国民経済が混乱し、生活に支障を来たすことで、人々やコミュニティー、そして国々には、現在はもちろんのこと、将来的にもさらに大きな負担がかかることになります。
人々は気候変動の深刻な影響を受けていますが、その中には天候パターンの変化、海面の上昇、異常気象の増加が含まれます。人間の活動に起因する温室効果ガスの排出は、気候変動を助長しながら、増大し続けています。排出量は現在、史上最高の水準に達しています。これに対策を講じなければ、地球の平均表面温度は21世紀中もさらに上昇を続け、上昇幅は今世紀中に摂氏3度を超えるものと見られます。世界には、これよりさらに大幅な温暖化が進む地域も出てくるでしょう。一番大きな影響を受けるのは、最貧層と最弱者層です。
各国がよりクリーンで強靭な経済を一気に達成できるような、手ごろで拡張可能な解決策は、すでに利用できる状態にあります。再生可能エネルギーその他、温室効果ガス排出量を削減し、適応への取り組みを本格化させる幅広い措置を採用する人々が増えていることで、変革は加速しています。
しかし、気候変動は国境を越えたグローバルな課題です。どこかで温室効果ガスの排出が増えれば、あらゆる場所の人々に影響が出ます。これは国際レベルで調整すべき解決策を必要とする問題であるため、開発途上国の低炭素経済への移行を支援するための国際協力が重要となってきます。
各国は2015年12月、気候変動に取り組むため、パリでグローバルな協定を採択しました。
目標12 [持続可能な消費と生産]
持続可能な消費生産形態を確保する
持続可能な消費と生産には、資源効率の改善と省エネの推進、持続可能なインフラのほか、すべての人に基本的なサービス、環境にやさしく、やりがいのある仕事、生活の質的向上を提供することが関わってきます。これを実現すれば、全般的な開発計画の達成、将来的な経済・環境・社会コストの削減、経済的競争力の強化、さらには貧困の削減に役立ちます。
持続可能な消費と生産は、「より少ないもので、より大きな、より良い成果を上げる」ことを目指します。ライフサイクル全体を通じて生活の質を改善する一方、資源利用を減らし、地球の劣化を緩和し、汚染を少なくすることで、経済活動から得られる利益を増やします。
また、生産者から最終消費者に至るまで、サプライ・チェーンにおける体系的なアプローチとアクター間の協力も必要になってきます。そのためには、持続可能な消費とライフスタイルに関する啓発と教育を通じた消費者への働きかけ、基準や表示を通じた消費者への十分な情報提供、持続可能な公的調達に向けた取り組みなども行わなければなりません。
目標11 [持続可能な都市]
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
都市はアイデアや商取引、文化、科学、生産性、社会開発など、多くの物事の中心地となっています。最良の状態なら、都市は人々が社会的、経済的に前進を遂げることを可能にしてきました。
しかし、引き続き雇用と豊かさを作り出しながら、土地や資源に負担をかけ過ぎないような形で都市を維持するためには、多くの課題が残っています。都市部でよく見られる課題としては、過密、基本的サービスを提供するための資金の不足、適切な住宅の不足、インフラの老朽化があげられます。
都市が抱える諸課題は、その繁栄と成長を継続しつつ、資源の利用を改善し、汚染と貧困を減らす形で克服することが可能です。私たちが望む未来には、基本的サービスやエネルギー、住宅、輸送その他多くのものへのアクセスを確保し、すべての人に機会を提供できる都市が含まれます。
目標10 [不平等]
国内及び各国家間の不平等を是正する
国際社会は、人々を貧困から脱出させるという点で、長足の進歩を遂げました。後発開発途上国や内陸開発途上国、小島嶼開発途上国といった最も脆弱な国々では、貧困の削減が引き続き進んでいます。しかし、不平等が解消せず、保健・教育サービスその他の資源へのアクセスという点で、大きな格差が残っています。
また、国家間の経済的格差が縮小傾向にあるとしても、各国国内では不平等が拡大しています。経済成長があっても、それが包摂的でなく、経済、社会、環境という持続可能な開発の3つの側面にすべて関係するものとならない場合、貧困削減には不十分だというコンセンサスも広がっています。
不平等を削減するためには、原則として社会から隔絶された恵まれない人々のニーズに注目し、普遍的な政策を導入すべきです。
目標9 [インフラ、産業化、イノベーション]
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
輸送、灌漑、エネルギー、情報通信技術などのインフラへの投資は、多くの国々で持続可能な開発を達成し、コミュニティーのエンパワーメントを図るうえで欠かせません。生産性と所得の向上や、健康と教育成果の改善にインフラへの投資が必要なことは、以前から認識されています。
包摂的で持続可能な産業開発は、主要な所得創出源であり、すべての人の生活水準の急速かつ持続的な向上を可能にするとともに、環境上健全な産業化に向けた技術的解決策も提供します。
技術的進歩は、資源効率の改善や省エネなどの環境関連の目的達成に向けた取り組みの基盤となります。技術やイノベーションがなければ産業化は起こりえず、産業化がなければ開発は起こりえないからです。
目標8 [経済成長と雇用]
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
世界人口の約半数は1日約2ドル相当の所得で生活しています。また、仕事があっても貧困から脱出できるとは限らない場所があまりにも多くなっています。改善はとてもゆるやかで不均等でしかありません。貧困根絶のためには経済・社会政策の見直しと改革が迫られています。
ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会の欠如、不十分な投資、過少消費が続いていることで、すべての人が進歩を分かち合わねばならないという、民主主義社会の根底をなす基本的な社会契約が形骸化しています。2015年以降も、ほとんどすべての経済にとって、質の高い雇用の創出は大きな課題となるでしょう。
持続可能な経済成長を実現するためには、すべての人が環境を損なうことなく、経済を活性化できる質の高い雇用を得られるための状況を社会が整備する必要があります。また、現役世代全体に雇用の機会と適正な労働条件を提供することも必要です。